新居拓也のブログ。2016年夏、カナダのユーコン川を下ってきました。前職は地方紙記者。元川の学校スタッフ。


by n11t

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出発して3時間で支流ホワイトリバーの合流地点にたどり着いた。その名の通り、水の色が白い。白色の砂が多く混ざっていると推測された。小型の浄水器ソーヤーミニのフィルターには頻繁に砂がつまり、こまめに清掃しなくてはいけなかった。



合流地点では雲の隙間から太陽の光が差していたが、ホワイト川の上流では大雨が降っているのが見えた。


水量はさらに増え、流れが速くなったのが明確に感じられた。上陸してラーメンの昼食。ついでに小麦粉と水、イーストを混ぜてピザ生地を作る。分量は適当だが、日本でたまに作っていたのでその感覚を思い出した。


雨が降り出したので急いで再出発。岸沿いの木々をどんどんと追い越した。快調!ただそんな中にも落とし穴があった。


ユーコン川はこの周辺からいくつも分岐し、多くの中州を形成していた。どの支流を選んでも行き着く先は同じだ。ある時、分岐点の真ん中に差し掛かり、右の水流を選ぼうとした。僕は右へ船先を向けて懸命漕いでいた。しかし、思うように右へ進まない。というか、景色が変わらない。

ふと振り返ると、すぐ後ろに大きな倒木があった。僕は実は左の流れに向かう水流の上にいて、右へ漕ぐことによってカヌーがフェリーグライドで水流を横切っていたのだ。ユーコンが広すぎて、あるいは水の流れが大きすぎて気づいていなかった。


フェリーグライドの状態ではカヌーは船先が向いている方向ではなく、横に進んでいく。すなわち、カヌーは自分が見ていない方向に進んでいるのだ。そこに障害物があってぶつかれば……。危なかったとしか言いようがない。


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遠くで土砂降り


中州地帯を抜けて行った。夕方、2艇のポリ艇が川を遡ろうとしていた。近づいてハローと挨拶。2人はアメリカ人でジョンとレイ。少し上流から分岐している水路を目指していた。

「その流れはたぶん少し上流で見たよ。でもこの流れじゃ少し大変だと思うよ」

「そうか。じゃあ今日は諦めるしかないね。ムースなんかの野生動物が見られるかもって期待したんだ」

ジョンはライターでありカメラマンだという。しばらく一緒に漕いで別れた。


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そろそろキャンプをしようかと思っていたら、また土砂降りになった。小雨になった頃に上陸。支流が流れ込む場所で湿地だが、テントが張れそうな一段高い場所もある。焚き火の跡があったのにもどことなく惹きつけられた。


いつものようにタープを張り、焚き火を起こそうとしたが、なかなか火が付かない。息を吹きかけて火を育てようとするのだが、火が安定せずに途中でどうしても消えてしまうのだ。湿地帯なので体はドロドロになり、1日漕いだ後で疲れもピーク。息を吹きかけていると目の前が暗くなり、前に倒れそうになった。


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よく薪を観察してみると、途中かなりの熱量になったのに薪が全く燃えていない。おそらくこれは日本でいうナナカマドのような木なんだろう。ナナカマドは7回かまどに入れても燃えない、という語源なのだという。実際、樹皮の感じなどよく似ているように思う。薪を変えたら、あっという間に火が付いた。


昼に仕込んだピザ生地が上手く発酵していたので、チーズやマッシュルームを入れて包み焼きにした。遠くをジョンとレイが通過していった。


目の前の支流でドボンと魚が跳ねる音がした。浅瀬の上にできる駆け上がりだ。ベイトリールなのでスピナーに大きいガン玉を打って投げると、一発できた。約50センチのシーフィッシュだった。「雨上がり」「瀬の上の駆け上がり」がこのユーコン旅で2匹のシーフィッシュが釣れた条件だ。


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午後11時、日がだいぶ傾いてきた。水面でまたザバーンと音がした。また慌てて竿をつかんだが、それにしても大きな音だザバーンというか、ドボーンというか、魚ならば超大物だ。水面を観察してみるとそれはビーバーだった。十メートル少々泳ぐと、尾で水面を叩いて水流に潜るのだった。


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by n11t | 2016-12-26 09:49 | ユーコン川

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切れた指の血は止まっているようだった。ターピングテープで一晩固められた指はいささか冷たくなっているようでもあった。まだ動かしては傷口が開いてしまいそうな気がしたので、指を気にしながらパドリングした。


青い空に太陽が昇っていく気持ちの良い朝。いつもの通り、1時間ほどかけて荷物を一つ一つパッキングし、出航した。マディな川が延々と続く。iphoneで音楽を聴きながら下った。サカナクションのアイデンティティとか、くるりの宿はなし、とか。


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取りこぼした10代の思い出とかを掘り起こして気づいた

これが純粋な自分らしさと気づいた

どうして時が経ってそう僕は気がついたんだろう

見えなかった自分らしさってやつがわかり始めた

(サカナクション・アンデンティティ)


今までなんとなく聞いていたこの曲はこんな歌詞だった。

純粋な僕の10代は大好きな吉野川を破壊しようとする行政に怒り、ユーコンに憧れるはみ出し者だった。その後、いろんな妥協や世の中に溶け込むすべを学んでここまで来た。

ただ、それでよかったのか。


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私設のキャンプ場にテントを張る。料金は忘れた。

宿はなし 今日も川のそば 暮れ行く夕凪を眺めれば

(くるり・宿はなし)


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ここで突然、趣味の刃物の話になるが、ユーコンに持って行ったのは昨日怪我の原因になったノコギリの他、ガーバーのゲーターフォールダー、コールドスチールのスペシャルフォースシャベル、レザーマンのマルチツールの4点。


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ゲーターフォールダーは小物を切るにも、魚をさばくにも、小さな薪を割るのにも過不足がないナイフで、普段のキャンプ、川遊びの時からお気に入りの一本だ。


コールドスチールのシャベルは今回のために買ったもので、ブレードに刃が付いているという不思議な一品だ。ロシアの特殊部隊が使うシャベルを元にしたという。ロシアの護身術、システマでも使われるのだという。

ブレートについた刃はユーコンでも大活躍だった。苔だらけの森の地面に綺麗なトイレ穴が掘れるし、薪を集める際にも木の枝ぐらいは落とせる。熊と出くわした時にも何か武器を持っていれば少しだけ安心だ。実際は熊の前では何の役にも立たないんだろうけど。



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by n11t | 2016-12-19 11:24 | ユーコン川


晴天。川幅はさらに広がり、中洲の数もさらに増えた。


12時半、公営のキャンプ場があるフォートセルカークに着いた。対岸に大きな支流ペリー川の流れ込みがあった。


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かつて交易で栄えた村であり、古い建物がたくさんあった。丸太でできた小さな家が多い。それぞれ年相応に朽ちているが、そのままにされており、自由に入ることができた。


大草原の小さな家たち。


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今日はここで泊まるという安田さんと別れて出発した。

太陽が泥色の川を照らしてた。遠くに浮かんでいる大きな雲に向かって進んだ。


「風の先の終わりを見ていたらこうなった。雲の形を真に受けてしまった」

奥田民生 さすらい


カーマックス以降、川地図には”Good Camp”の表示がめっきりと減った。丁度良い場所に地図に記された場所がないなら、自分の目で良いキャンプ地を見つけなければならない。


川の両岸は茂みが多く、平坦な場所が少なそうだし、クマに出会うリスクも高そうなので、河原の広い中洲が真っ先に候補に上がった。


砂利の河原に上陸。ペグが打ちにくいの嫌う人もいるが、ずっと僕は広く見晴らしのいい河原が大好きなのだ。ペグがわりに大きな流木で2本の支点をとってタープを張った。流木のポールを立てて、前の2点は再び地面の方向にアンカーをとる。これでタープがシェルター型になり、横からの雨も防げる。


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ビールを飲んでほんの少し酔っ払い、フライを振った。悪くない筋を流していると思うのだが、グレイリングは食いつかなかった。カーマックス以降、釣りは難易度を増しているように思えた。


薪を追加しようと、のこぎりで長い流木を切った。しかし旅にも慣れてきたせいか、この時はいつもしている手袋をしていなかった。そんな時に限って、手を切ってしまうのだ。切ったのは右手の人差し指。奇しくもノコギリは切れ味抜群で海外のキャンパーにも自慢していたシルキーのゴム太郎。切り口は狭いが、奥には深そうだった。


カヌーピープルでスコットが言っていたことを思い出していた。

「アクシデントっていうのは、大抵バカなことをした時に起こるもんだよ」

ビールを飲んで、しかも手袋をせずにノコギリを扱い、またそれを荒野でやってしまったことがバカなことだ。


切れていない、そうきっと切れていない。そう心の中で唱えて自分をごまかして、ファーストエイドキットを取りにいった。そのまま指を動かさず、マキロンで消毒し、バンドエイドを貼り、非伸縮のテーピングテープでぐるぐる巻きにした。傷口を妙に弄らなければ、きれいにひっついてくれると僕は信じた。祈った。



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by n11t | 2016-12-17 10:00 | ユーコン川

寝ている間にクマの襲撃はなく、クレイのライフルが火を吹くこともなかった。

太陽の光が差す、久々の朝だった。


前日から醤油に漬け込んでいたイクラをつまんでみた。分量は適当だったが、日本でもおなじみのイクラの醤油漬けになっていた。安田さんが炊いた米をいただいて、イクラご飯。至福だった。


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連絡先を交換し、クレイ、僕、安田さんの順に出発。ユーコンの水はすっかり茶色になり、幅が広くなり、中洲が増えた。一言に「ユーコン」と言っても、レイクラバージュ直後の区間「30 Mile River」とここでは全く様相が異なる。


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右岸にクロクマがいた。近寄るがしばらくこちらに気づかず、茂みに頭を入れてごぞごぞとやっている。カヌーの存在に気づくと、森に駆け込んで行った。


中洲に上陸して昼食。見晴らしがいいので、熊に出くわす心配がない。メニューはサーモンいくらパスタ。パスタは茹でておき、サーモンを多めのバターでソテーにする。皮がカリッとしたら身をほぐし、パスタと醤油で和え、イクラをたっぷり乗せて完成。贅沢はパスタだが、イクラとサケは大量にあった。おいしいものしか入れてないので、美味しいのは当然!


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午後になって、また雲行きが怪しくなってきた。近くの道路とユーコン川が近接する地点ミントの付近で、まとまった雨にぶつかってしまった。雨がかなり大粒だった。座ったままじっとして数時間やり過ごす。


雨が上がり陽の光が差した。ミントから少し先のTHOM’S LOCATIONという場所で安田さんが上陸しているのを見つけた。

「いやあ、もうびしょ濡れです。タクラマカン砂漠よりキツい。脱出ボタンがあったら、押すとこでした」と言う。


そこには古いけれどしっかりした作りのキャビンがあった。中には薪ストーブもあり、粗末な2段ベッドが2つ。「キャビンに泊まるのが夢だったんです」と安田さん。僕もそこで泊まることにした。薪ストーブをガンガンと炊き、濡れた道具を乾かす。


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焚き火を起こし、晩ご飯にサーモンのシチューを作る。小麦粉、バター、牛乳を持っていたのでなんとか作れるのではないかと思ったのだ。あとマッシュルームも。準備していたわけではないが、カーマックスで買った材料はほぼシチューのそれであった。


バターと小麦粉を炒め、牛乳を少しずつ加えていくホワイトソース作りは、幼い頃にやった覚えがあった。それを焚き火でやる。分量は適当。だけれどシチューは完全に自分の想像通り出来上がった。


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シチューを安田さんに分け、代わりに今日もご飯をもらった。「米は山ほどありますから」

1本のビールと少しの焼酎を飲み、昨日燻したサケをつまんだ。


椅子に座って本を読んだ。本は「日本人のための憲法言論」。大学時代、神保哲生ゼミの友人が「先生が読めと言っていた」と勧めてくれた本だ。買ったもののずっと放置していたので、持ってきたのだった。


午後9時それでも周囲は夕方のようだった。


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by n11t | 2016-12-16 08:00 | ユーコン川


フィッシュキャンプを出てしばらくすると、右岸に安田さんのカヌーが見えた。

あと少しで最大の難所とされるファイブフィンガー・ラピッドが訪れる。その急流は安田さんと一緒に下ることにした。


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この大河に急流が現れている理由は、この場所にはいくつもの大岩があり、その間に水流が圧縮されて流れているからだ。本当に5つに分かれているのかは確認していないが、確かに大河が5本の水流に分かれているような形だ。


経験者やいろいろな本の情報では「右端の水路の真ん中を行けば大丈夫」「急流というほどのものでもない」とされていたがやはり心配だった。日本ではホワイトウォーターと言われる激流も下っていた自分だが、今乗っているカナディアンカヌーには舟への水の侵入を防ぐスプレースカートがない。それにユーコンほどの大河だ。波のうねりがどのようになっているかもわからないし、万一バランスを崩したらあっという間にカヌーに水が入り込むのではないかと思った。


なんてことないところで沈してしまうのがカヌー・カヤックだ。ライフジャケットのベルトをぎゅっと閉めた。


先に安田さんが行った。急流を形成する岩の手前は淀みで右側が大きなエディになっていた。数十メートルはある大きく強い水流だ。ボイルと呼ばれる水底からの水流もボコボコと浮かび上がっていて緊張した。こういうところではバランスを崩しやすい。エディに入らないように中央を進んだ。


岩の真ん中を超えると波が現れ、カヌーが上下に揺れ始めた。ざばん、ざばんと波が定期的に船底を打つ程度の波だ。ただ一度だけ左斜め横の波が当たり、少しバランスを崩しかけた。とはいえそれも沈とは程遠い、なんてことない波なのだが、やはりカヌーに自分の命を託す全ての道具が乗っていて、沈すれば全て流れていってしまうと思うと体が強ばった。そのまま無事通過。



またしばらく行くともう一つの難所とされるリンクラピッドがあるのだが、ここは川の幅広い部分で、中央には白波が立っているが右側を行けば急流ですらなかった。


夕方、地図に”Good Large Camping Area”と書かれていたユーコン・クロッシングに到着したが、腰までの雑草に覆われてキャンプどころではなさそうだった。地図の情報が現状とずれていることもある。


午後7時、MERRICE CREEKと呼ばれる場所で、リンクラピッド後に別れていた安田さんに再会した。「とてもいいキャンプ地ですよ」と言うので、僕もここに宿泊させてもらう。河原から小道を30メートルほど登ると、林の端が見晴らしのいい場所になっていた。


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木々の間にタープを張り荷物置き場に。川側にテントを張った。

奥には朽ち果てたキャビンがあった。屋根が残っているのでそこで雨風をしのぐこともできる。



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薪を拾いに林に入って行くと、長い小道が続いていた。熊もいるようで、小道沿いには足跡が続いていた。


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キャビンの入り口に焚き火跡があったので火を起こした。壊れかけだが屋根があるので、多少の雨なら大丈夫そうだ。いただいたサケでフィッシュキャンプの作業を再現してみた。身に1.5センチほどの感覚で切れ目を入れ、塩を降って焚き火の上に吊るした。数時間後、ややスモークされた切り身が出来上がった。たくさんいただいたが、これで数日は食べられそうだ。


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イクラには醤油を入れ、朝まで置くことにした。醤油を入れて少し食べてみたのだが、醤油とイクラの味がバラバラで美味しくなかったのだ。


夕食はカーマックスで買った冷凍ピザ。ホイルで包んで焚き火に入れると、綺麗に焼きあがった。サケは皮側から焼くのが一番美味しい方法だと、いただく際に聞いていた。皮がパリパリになるまで焼くと、サケの油が滲み出て美味しかった。


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遠くに黒い雲が見え、こちらに近づいているように見えた。「こっちに来られたら困りますねえ」と安田さんと話していると、白人の男性が現れた。カナダ人で名前はクレイという。一人乗りのポリ艇でやってきた。


彼はライフルを持っていた。弾丸は1センチ以上のもので、当たると2つに割れて大きなダメージを与えると言う。「今晩はクマが来ても安心だね」と僕と安田さん。


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焚き火を囲んで3人で話した。

クレイはかつてはアメリカ大統領選の選挙活動にも携わったインテリだが、現在は大工だと言う。「稼ぎがいいんだ」という。マッケンジーを下りだりたいと思っていて、その前哨戦のようなものらしい。


ポケットからもぞもぞと携帯電話を取り出し、「レイクラバージュの端で不意に電波が入ったよ」と言った。そういえば土産屋で売っていたTシャツにこんなものがあった。”FREE WiFi →”と書かれた看板の先にクマが待ち構えており、スマホを持った男性がふらふらと歩いていっている、というイラストが書かれていた。そういう時代よね。


もう1つ思い出した。レイクラバージュの端に怪我をした人がいて、病院に行くために水上飛行機を呼んでいた。人の多いキャンプ地だったから、誰かが携帯電話を持っていて、運よく電波が入ったのかもしれない。


「どんな怪我だったの?」

「目が腫れていたよ。偶然居合わせた医師が病院に行くことを勧めたんだって。どうして怪我したのかは聞かなかったけど」

「多分xxxxを目に入れたんじゃない?」

「ひでえ!」

それが政治科学で修士を取った男が言うジョークか!


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雲はちょうど目の前の対岸を通り過ぎ、キャンプ地は雨を免れた。遠くに大きな虹ができいた。

人と場所と天気と。最高のキャンプだった。


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by n11t | 2016-12-15 08:00 | ユーコン川
セフィーボロの収納力を上げるために、棚を設置した。
材料を色々検討した結果、木の棒2本と板1本でぴったり出来上がりそうだった。

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mitre10で材料を買った。材料費は約50ドル。

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木の棒2本を横に渡す。ちょうどいいくぼみがあったのでしっかりと固定できた。

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どの上に板を置き、ドリルとネジで固定し、残りの枝で荷物のストッパーをつけて完成。作業は日本から持ち込んだブラックアンドデッカー・マルチツールを使った。電動ノコギリ、穴あけ、ドライバー、電動ヤスリが付いているので、これ1つで作業できた。

クーラーボックスなどがちょうど収まるいい感じのサイズ。この上で調理もできそう!





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by n11t | 2016-12-14 13:19 | ワーキングホリデー
荷物をまとめ、コールマインキャンプ場を出発。ここで旅を終えるデンマーク人のジョナスに別れを告げる。Have a good trip !

出発してすぐにユーコン川を渡る橋がある。昨日自転車でも通った橋だ。この旅でツーリングした距離は800キロだったが、その中で唯一くぐった橋だった。

しばらく進むと左岸にフィッシュキャンプが見えた。フィッシュキャンプとはカナダの先住民であるファーストネーションのサケ漁の基地。捕まえたサケを捌いたり、加工したりするための場所だ。

フィッシュキャンプはビッグサーモンリバーの合流点でも見つけていた。野田さんの本ではよくフィッシュキャンプに訪問してサケをもらう、といったシーンがよく出てくる。しかし、彼らは仕事をしているわけだし、それが生活の一部であるわけだし、そんな風に気軽に旅人が訪問してよいものかと僕は疑念を抱いていた。なのでビッグサーモンの合流点では前を通りがてら「こんちわ」とあいさつしただけで通り過ぎていたのだった。その時は無表情なファーストネーションが「やあ」と一言返してくれた。

フィッシュキャンプがどのようなものかは未だ興味があり、この日も観察がてらフィッシュキャンプの前を通ることにした。このキャンプは先日のものよりも大きく、10人弱が作業していた。川を流れるカヌーの上から「こんにちは」というと1人の男性が「調子はどうだい」と笑顔で言った。もしや、と思った。なんだかフレンドリーそうだし、このフィッシュキャンプは立ち寄れるのではないか。とっさに「止まって作業を見ていいい?」という言葉が口を出た。誰かが「いいよ」と言い、接岸したカヌーをファーストネーションの若者がロープで固定してくれた。


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「僕の名前はタクです。日本から来ました」とユーコン定番の挨拶。そして作業を見せてもらった。彼(彼女)らはV字型に組んだ板に腹を上にしてサケを乗せ、腹をさき、三枚に下ろす。その後、身に約1センチ間隔で切れ目を入れ、焚き火を炊いた屋根の下に吊るして乾燥させる。切れ目を入れるのは身の中まで燻して、虫が入らないようにするためだという。ここで「乾燥させたもの」「半乾燥」、そして特別な小屋で「スモーク」、そして別の屋根の下では犬たちのために骨周りを乾燥させていた。半乾燥のサーモンをフライパンで焼いたものに、塩をかけて食べさせてくれた。サケの旨味が凝縮され、しかも脂が乗っていて絶品だ。そういうと、1人がサケの頭を指差して言った。「皮と身の間を見てごらん。サケはベーリング海からここまで何千キロも旅するから、たくさんの脂を蓄えているんだ」

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彼らの中にはファーストネーションもおり、また白人もいる。「作業の写真を撮っていい?」と聞くと、痩せて長身の白人男性が「そうだな。5000ドルでいいよ」と冗談っぽく言った。「うーん、クレジットカードは使えるかな?」と荒野ボケで返すと、彼は「もちろんさ!僕の尻の間を通しな!」

後から知ったことだが、彼はファーストネーションの女性と結婚した男性だ。またキャンプについて詳しく説明してくれた女性は英国生まれのリサ。夫のジョンが先住民のためのコンサルタントをしている。

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リサが説明してくれた。「このサケは対岸に仕掛けた罠でとったの。昨夜から今朝まででこれだけ(数十匹)。網の設置場所は1945年からずっと変わってないらしいわ」。このフィッシュキャンプの代表は97歳のおばあちゃんだ。普段はあまり元気がないのに、この時期、フィッシュキャンプに来ると元気になるのだという。リーダーというより、精神的な支柱というのが正しいかもしれない。

またジョンがポツリと警告した。「どのフィッシュキャンプもこんなにフレンドリーってわけではないからね」

メスのサケはイクラを抱えていた。若いファーストネイションがイクラを少しずと川に放り投げると、寄ってきたグレイリングがそれに食いついていた。「日本人はこれが大好きなんだよ。そのせいでアラスカのサケを取りすぎたっていう話も聞いたけどね」。そんな話をしていると、彼らはジップロックにイクラを入れ、また「これぐらいだったら食えるか」と60センチほどのサケを切り身にして丸々渡してくれた。長身の男は「さっきの写真撮影と合わせると高えぞ」

1人が言った。昔、犬を連れた日本人がこのキャンプに来てね。イクラをあげるとその中に醤油を注いで食べていたよ」。犬を連れた日本人、おそらくそれは野田さんなのではないか。あえてその話はしなかったが、帰国後、野田さんにその話をすると、「カーマックスの少し下か。多分寄ったことがある」とのことだった。やはり野田さんはユーコンのパイオニアなのだ。

リサは旅が終わってホワートホースに来たらぜひうちに来て、と連絡先を教えてくれた。僕は焼酎を差し出し、「Japanese Ginです。よかったら飲んでください」と言ったが、冗談好きの長身の男は「君の旅にこれから必要だろう」と受け取ってくれなかった。
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by n11t | 2016-12-14 10:00 | ユーコン川

朝の天気は曇り。焚き火を起こそうとナイフで薪を割っていると、カウボーイハットをかぶったファースト・ネイション(カナダの先住民)の男がやってきて、「これを使え」と斧を貸してくれた。彼の姿は昨日見ていた。10人近くのファーストネイションが、巨大なカヌーを引き上げていたのだ。


カヌーは片側に約5人づつが乗って操船するもので、全て木でできている。赤く塗られ、掌の絵などが描かれた派手なカヌーだ。斧を返しがてら、カウボーイハットの男・ウィリアムに旅について聞いた。彼らはホワイトホースからきた。この旅はファーストネーションの伝統を引き継ぐための”Healing Trip”なのだという。


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キャンプ場で無料の自転車を借りて、10分ほどの距離にある街に向かった。街といっても、商店は2、3軒しかない。

食料品店で小麦粉、玉ねぎ、バター、牛乳、ドライイーストなどの食材を買う。料理上手のマリアンに触発され、僕もいろいろ料理してみようという気になっていた。そのほか、雑貨店で焚き火用の手袋など。じっくり買い物をしているうちに、外は強い雨になっていた。


しょうがないので近くのホテルのバーでビールを飲んでやり過ごした。持ち帰り用の酒もここで売っている。地元のおじさんが話しかけてきたので、降り続く聞いてみた。「この時期の雨はサーモンレインと呼ばれるんだけど、普通ここまで降ることはないね。とてもUnuseualだ」。雨が止まないので仕方なくビニール製の簡易雨具を羽織り、帰路に着いた。


シャワーを浴び、一息ついていると、ウルフとマリアンが到着した。「ハンバーガー!」とマリアンが叫び、僕も一緒に食べに行くことになった。

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コールマインキャンプ場の僕のキャンプサイト


日本語訛りの英語が聞こえた。洗濯機が動かない、と言っているようだ。僕は中国、韓国、日本、タイなどの留学生と高校時代を過ごしたので、同じアジア人でも訛りによって大体の国籍が分かる。話してみると安田さんという日本のいう方だった。


彼はタクラマカン砂漠を自転車で単独横断した経験があり、長期休暇をとっては海外で冒険しているとのことだった。帰国後、アウトドア用品メーカー・モンベルのホームページを見てみると、同社がかつて彼のチャレンジを支援したことが記されていた。


安田さんが言った。「2日前の夜、テントの外で変な音がしたんです。川に石を投げ込むような音です。クマかと思って、ベアスプレーのピンを抜きました。何もなかったですけど、翌朝河原を見てみると、こんなものがあったんです」


彼が見せてくれた写真には、河原にくっきりとつけられた、裸足の、猿人類と思わしき足跡が写っていた。

「日本で電気代を滞納したから、東電の人がここまで来たんだろか」。


……安田さん、多分その足跡、ニュージーランド人のやつです。


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by n11t | 2016-12-09 08:00 | ユーコン川

朝、出発の準備をしていると2人の男女が訪れた。彼らはニュージーランド人で、男性は裸足、女性はサンダル。キウイはこんなところでも靴を履かないのか…。


この日は、ツーリング中にアクセスできるほぼ唯一の街カーマックスまで辿りつきたいと思っていた。川は淡々と流れた。ちなみに持って行ったバックパックは街でもいつも使っているMissionWorkshopのFitzroy。開口部が大きく、しかも雨や水しぶきなど、上方向からの水は中に入らないので、沈を全く予定していない僕の川旅では大活躍だった。主にカメラなどを入れた。


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半日漕いだころ、向かいの斜面に電柱と電線が見えた。「水曜どうでしょう」のユーコン編のラストと全く同じ光景だ。久々の人工物!カーマックスも近いに違いない。


ビッグサーモン川との合流地点に到着。ここには綺麗なロッジがいくつもあり、どうやら泊まっても良さそうだったので、旅する人はぜひご参考に。


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しかし、ここからカーマックスまでが長かった。水曜どうでしょうの一行はこのビッグサーモン川合流地点付近でゴールしたらしい。

しかもここで雨が土砂降りになってしまう。がんばれば到着できるかもしれないが、この雨で進むべきか。


そして場面は、このユーコンの記録で冒頭に書いた場所に戻る。

http://n11t.exblog.jp/25727560/


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さて、雨が上がり、シーフィッシュを捕らえた僕は、午後9時過ぎにカーマックスのコールマインキャンプ場についた。びしょ濡れになりながら、重いカヌーを引き上げて荷物を運び、午後10時の閉店ギリギリに念願のハンバーガーを食べることができた。


そして温かいシャワー!幸せだ!思わずため息が漏れた。人生で浴びた最も気持ちが良いシャワーの一つだった!


旅もほぼ半分だ。


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by n11t | 2016-12-08 07:00 | ユーコン川
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by n11t | 2016-12-07 11:51 | ワーキングホリデー