新居拓也のブログ。2016年夏、カナダのユーコン川を下ってきました。前職は地方紙記者。元川の学校スタッフ。


by n11t

カテゴリ:ユーコン川( 22 )

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先日発売されたアウトドア雑誌BE-PAL(2016年10月号)の野田知佑さんの連載で、僕のユーコン旅が紹介されました。
4ページもの場所を割いてくださり、旅をダイジェストをまとめてくださっています。ぜひごらんください。

記者の友人や雑誌に寄稿している友人からは「新居君が書いた記事ではないの?」というツッコミもいただきました。
確かにせっかく記者として7年間働いたわけだし、書くこと自体も大好きなので、何かできればと思っています。今後頑張ります。

ブログでも旅をふりかえっていければと思いますのでよろしくお願いいたします。
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by n11t | 2016-09-15 14:10 | ユーコン川


「寒い…。」
7月22日。
ユーコン川は午後7時でも周囲はまだ明るかった。
ただ大粒の雨が体を打ち続けていた。
カヌーを漕げば雨具の袖口から水が流れ込んでくる。
フードのコードを絞っても首まわりからは水が染み込む。
 
さっき立ち寄ったキャンプ地で停滞した方がよかっただろうか。
そこではイギリス人家族が先にテントを張っていて火を焚いていた。
リチャードと名乗る父親が「自由にしていっていいよ」と声をかけてくれた。

ただ、あと2時間も進めばカーマックスだ。
平らなキャンプ場やシャワー、そして何よりハンバーガーショップあるはずだった。
あと少しだと思うと進まずにはいられなかった。

とにかく川を漂うだけでも少しは進んで行くはず。
そう思って僕はカヌーに乗り、雨の中で舟の上で体を丸めて小さくなっていた。
カヌーには雨水がたまるので、時折くみ出した。
 
北アメリカ北西部の位置するユーコン川。
日本では作家の野田知佑さんが多数の旅行記を発表してその名が知られた。
僕は中学3年の時、その野田さんが校長を務める四国吉野川の「川の学校」に参加した。
小学生の参加者が多い川の学校で数少ない中学3年生だった。
そんなこともあってか野田さんと話をする機会が多く、野田さんも僕のことを気に入ってくれたようだった。
大学に入るとスタッフになり、計8年間運営に携わった。
川の学校卒業生としてユーコンは一度は下っておかなければ。
ユーコン川は僕にとって「いつか訪れなければならない川」になっていた。

29歳。
僕はスタックしかけていた。
仕事に不満があったわけではない。
しかし、毎日は少しづつ違えど、何か劇的なことが起こるわけでもない。
ファイトクラブでブラッドピッドが言っていた。
「長いはずだった人生も、いつかは持ち時間がゼロになる」。
そろそろ僕は次の段階に進む時だと思った。

会社を退職するにあたって、今までやりたくてもできなかったことを整理し、まず浮かびあがったのがユーコン川を下ることだった。
圧倒的な荒野の中に打ちひしがれたいと思った。

そんな風に軽く考えていたのだが、実際、僕はユーコンの雨に打ちひしがれていた。
 
午後8時30分、ハンバーガーまであと少し。
強かった雨は弱くなり、ついに降り止んだ。
雲に隠れた太陽が周囲を少しだけ黄色く照らし、浅瀬では魚が跳ねる音がした。
ルアーを投げてみると、2投目で魚が食いついた。
60センチほどのシーフィッシュだった。
ルアーはカナダ国旗が描かれたスプーンで、何かの冗談かと思った。

旅が終わって振り返ると、ユーコンではほぼ毎日雨が降った。
大体は本格的な雨で、道中、地元の人は”Unuseual”だとか”It has never rained like this before” などと口を揃えた。
ユーコン川を下った13日間のうち、一滴も雨が降らなかったのは2日だけだった。
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by n11t | 2016-08-29 11:05 | ユーコン川