新居拓也のブログ。2016年夏、カナダのユーコン川を下ってきました。前職は地方紙記者。元川の学校スタッフ。


by n11t

【元川ガキ、ユーコンへ行く】ホワイトリバーに合流(7月29日)


出発して3時間で支流ホワイトリバーの合流地点にたどり着いた。その名の通り、水の色が白い。白色の砂が多く混ざっていると推測された。小型の浄水器ソーヤーミニのフィルターには頻繁に砂がつまり、こまめに清掃しなくてはいけなかった。



合流地点では雲の隙間から太陽の光が差していたが、ホワイト川の上流では大雨が降っているのが見えた。


水量はさらに増え、流れが速くなったのが明確に感じられた。上陸してラーメンの昼食。ついでに小麦粉と水、イーストを混ぜてピザ生地を作る。分量は適当だが、日本でたまに作っていたのでその感覚を思い出した。


雨が降り出したので急いで再出発。岸沿いの木々をどんどんと追い越した。快調!ただそんな中にも落とし穴があった。


ユーコン川はこの周辺からいくつも分岐し、多くの中州を形成していた。どの支流を選んでも行き着く先は同じだ。ある時、分岐点の真ん中に差し掛かり、右の水流を選ぼうとした。僕は右へ船先を向けて懸命漕いでいた。しかし、思うように右へ進まない。というか、景色が変わらない。

ふと振り返ると、すぐ後ろに大きな倒木があった。僕は実は左の流れに向かう水流の上にいて、右へ漕ぐことによってカヌーがフェリーグライドで水流を横切っていたのだ。ユーコンが広すぎて、あるいは水の流れが大きすぎて気づいていなかった。


フェリーグライドの状態ではカヌーは船先が向いている方向ではなく、横に進んでいく。すなわち、カヌーは自分が見ていない方向に進んでいるのだ。そこに障害物があってぶつかれば……。危なかったとしか言いようがない。


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遠くで土砂降り


中州地帯を抜けて行った。夕方、2艇のポリ艇が川を遡ろうとしていた。近づいてハローと挨拶。2人はアメリカ人でジョンとレイ。少し上流から分岐している水路を目指していた。

「その流れはたぶん少し上流で見たよ。でもこの流れじゃ少し大変だと思うよ」

「そうか。じゃあ今日は諦めるしかないね。ムースなんかの野生動物が見られるかもって期待したんだ」

ジョンはライターでありカメラマンだという。しばらく一緒に漕いで別れた。


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そろそろキャンプをしようかと思っていたら、また土砂降りになった。小雨になった頃に上陸。支流が流れ込む場所で湿地だが、テントが張れそうな一段高い場所もある。焚き火の跡があったのにもどことなく惹きつけられた。


いつものようにタープを張り、焚き火を起こそうとしたが、なかなか火が付かない。息を吹きかけて火を育てようとするのだが、火が安定せずに途中でどうしても消えてしまうのだ。湿地帯なので体はドロドロになり、1日漕いだ後で疲れもピーク。息を吹きかけていると目の前が暗くなり、前に倒れそうになった。


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よく薪を観察してみると、途中かなりの熱量になったのに薪が全く燃えていない。おそらくこれは日本でいうナナカマドのような木なんだろう。ナナカマドは7回かまどに入れても燃えない、という語源なのだという。実際、樹皮の感じなどよく似ているように思う。薪を変えたら、あっという間に火が付いた。


昼に仕込んだピザ生地が上手く発酵していたので、チーズやマッシュルームを入れて包み焼きにした。遠くをジョンとレイが通過していった。


目の前の支流でドボンと魚が跳ねる音がした。浅瀬の上にできる駆け上がりだ。ベイトリールなのでスピナーに大きいガン玉を打って投げると、一発できた。約50センチのシーフィッシュだった。「雨上がり」「瀬の上の駆け上がり」がこのユーコン旅で2匹のシーフィッシュが釣れた条件だ。


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午後11時、日がだいぶ傾いてきた。水面でまたザバーンと音がした。また慌てて竿をつかんだが、それにしても大きな音だザバーンというか、ドボーンというか、魚ならば超大物だ。水面を観察してみるとそれはビーバーだった。十メートル少々泳ぐと、尾で水面を叩いて水流に潜るのだった。


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by n11t | 2016-12-26 09:49 | ユーコン川