新居拓也のブログ。2016年夏、カナダのユーコン川を下ってきました。前職は地方紙記者。元川の学校スタッフ。


by n11t

【元川ガキ、ユーコンへ行く】カーマックス滞在(7月24日)

朝の天気は曇り。焚き火を起こそうとナイフで薪を割っていると、カウボーイハットをかぶったファースト・ネイション(カナダの先住民)の男がやってきて、「これを使え」と斧を貸してくれた。彼の姿は昨日見ていた。10人近くのファーストネイションが、巨大なカヌーを引き上げていたのだ。


カヌーは片側に約5人づつが乗って操船するもので、全て木でできている。赤く塗られ、掌の絵などが描かれた派手なカヌーだ。斧を返しがてら、カウボーイハットの男・ウィリアムに旅について聞いた。彼らはホワイトホースからきた。この旅はファーストネーションの伝統を引き継ぐための”Healing Trip”なのだという。


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キャンプ場で無料の自転車を借りて、10分ほどの距離にある街に向かった。街といっても、商店は2、3軒しかない。

食料品店で小麦粉、玉ねぎ、バター、牛乳、ドライイーストなどの食材を買う。料理上手のマリアンに触発され、僕もいろいろ料理してみようという気になっていた。そのほか、雑貨店で焚き火用の手袋など。じっくり買い物をしているうちに、外は強い雨になっていた。


しょうがないので近くのホテルのバーでビールを飲んでやり過ごした。持ち帰り用の酒もここで売っている。地元のおじさんが話しかけてきたので、降り続く聞いてみた。「この時期の雨はサーモンレインと呼ばれるんだけど、普通ここまで降ることはないね。とてもUnuseualだ」。雨が止まないので仕方なくビニール製の簡易雨具を羽織り、帰路に着いた。


シャワーを浴び、一息ついていると、ウルフとマリアンが到着した。「ハンバーガー!」とマリアンが叫び、僕も一緒に食べに行くことになった。

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コールマインキャンプ場の僕のキャンプサイト


日本語訛りの英語が聞こえた。洗濯機が動かない、と言っているようだ。僕は中国、韓国、日本、タイなどの留学生と高校時代を過ごしたので、同じアジア人でも訛りによって大体の国籍が分かる。話してみると安田さんという日本のいう方だった。


彼はタクラマカン砂漠を自転車で単独横断した経験があり、長期休暇をとっては海外で冒険しているとのことだった。帰国後、アウトドア用品メーカー・モンベルのホームページを見てみると、同社がかつて彼のチャレンジを支援したことが記されていた。


安田さんが言った。「2日前の夜、テントの外で変な音がしたんです。川に石を投げ込むような音です。クマかと思って、ベアスプレーのピンを抜きました。何もなかったですけど、翌朝河原を見てみると、こんなものがあったんです」


彼が見せてくれた写真には、河原にくっきりとつけられた、裸足の、猿人類と思わしき足跡が写っていた。

「日本で電気代を滞納したから、東電の人がここまで来たんだろか」。


……安田さん、多分その足跡、ニュージーランド人のやつです。


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by n11t | 2016-12-09 08:00 | ユーコン川